あらすじ・概要
横浜市には、外国の人、あるいは外国にルーツのある人々が暮らす団地がある。そこにある小学校もまた、外国籍の子どもや親が外国籍の子どもたちを受け入れている。多様な文化を持つ人々を受け入れ、一緒に暮らしていくための、小学校の取り組みを描く本。
日本の多文化共生最前線
日本の多文化共生の最前線が描かれていて面白かったです。
舞台となる横浜市立飯田北いちょう小学校は、外国籍の子ども、もしくは外国籍の親を持つ日本籍の子どもたちが多く通っています。
著者は日本人の子どもと外国に関係のある子どもたちを相手に、多様な民族が共存する学校を目指して取り組んでいます。
文中では、日本語教育だけではなく、外国に関係のある子どもが、親の話す言語を維持し続ける大事さについて述べています。
幼いころに親に連れられて日本に来た子どもたちは、大きくなるにつれて親の故郷の言葉を忘れてしまいます。その結果、母語しか話せない親とコミュニケーションがとれなくなってしまうことがあります。
また、生産性の話をするのも嫌らしいですが、日本語+他の言語のバイリンガルの若者がいれば、グローバル化の進む日本にとって財産になります。
子どもたちを日本の文化に合わせるのではなく、日本が多様な文化を受容していく社会にするのが大事だと著者は述べます。
基本的に明るい話で、個人的にはもっとややこしい問題も知りたかったです。しかし、子どもたちに多様な社会への希望を持たせるのであればこのくらいの明るさが必要なのかもしれません。
全てがこの本の中のようにうまく行くわけではないと思いますが、現場がどういうことをしているのか知るきっかけとしてはよかったです。