はてなブログのお題に沿ってまとめ記事を作ってみようのシリーズ、今回はコメディ映画です。
過去の記事から面白いコメディ映画を抜粋、加筆修正しました。
- 『ラマになった王様』
- 『MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』
- 『ブレッド・トレイン』
- 『クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』
- 『ピーター・ラビット』
- 『エクストリーム・ジョブ』
- 『カメラを止めるな!』
- 『Mr.&Mrs.スミス』
- 『超高速! 参勤交代』
- 『ローラとふたりの兄』
『ラマになった王様』
わがまま放題の王様、クスコは魔女イズマを首にして恨まれ、ラマに変えられてしまう。心優しい農夫パチャに助けられるが、クスコはパチャにもわがままな態度を崩さない。しかし王宮を目指してパチャと旅をするうちに、クスコの心に変化が起こり始める。
『MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』
多忙な広告会社に勤める吉川は、同僚から「ここ一週間をタイムループしている」と告げられる。半信半疑だったが、数々の証拠を見せつけられて信じることに。タイムループを乗り越えるには、どうやら部長がカギになっているらしい。吉川たちは部長にタイムループが起こっていることを知らせようとするが……。
まずシンプルに脚本が面白いです。タイムループネタはかなりやりつくされたベタな設定ですが、舞台を「修羅場状態の広告会社」にしたところが個性的でした。また、何度もタイムループするうちにクライアントの無茶振りにすぐ対応できるようになったり、ループする時間のうちにスキルアップしてしまうところも笑いました。
とにかく次々に話が展開していくので、中だるみするシーンがまったくありません。展開が早いまま伏線を敷きまたしっかり回収していくので、爽快感もあります。
また、テーマも面白く、とても楽しめるコメディ映画でした。
『ブレッド・トレイン』
いつも不運に巻き込まれるてんとう虫(レディバグ)という運び屋は、新幹線での仕事を引き受け列車に乗り込む。しかしその新幹線ではそれぞれの思惑を持つ殺し屋たちが同乗していた。てんとう虫が依頼されたアタッシュケースを奪ったことから、列車の中で次々にトラブルが起こる。
日本描写がめちゃくちゃ間違ってて、東京駅で新幹線が山手線のホームみたいなところに来るし、東京五輪のミライトワをパクったようなキャラが出るし、ヤクザが日本刀持って襲ってくるしもうめちゃくちゃ。
ただ、間違ってるのは日本描写だけではなく、他文化の描写も作品の倫理観も全部間違ってるのであまり気にならなかったです。
ここまで来るとそういうファンタジーだよ。
ストーリーは登場人物が何気なくした行動が、ドミノが倒れるように後々の展開に効いてくる、の繰り返しです。複数の殺し屋の思惑が重なり、いったいどうなるの、の連続。退屈しないストーリーで楽しかったです。
完結まで息をつかせぬ展開でした。
『クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』
エリート教育をする学校に体験入学することになったカスカベ防衛隊の5人。誘った風間くんはやる気満々だが、他のメンバーは消極的で……。そんな中、風間くんが時計塔に住むという吸ケツ鬼に襲われ、ガキンチョになってしまう。残された四人と案内役の生徒会長のチシオは、吸ケツ鬼の謎を追うことにする。
コメディなので笑えるシーンがいろいろ出て来ますが、あとからそのばかばかしいシーンが伏線だったことがわかるので気持ちいいです。話の進行に無駄がありません。
それでいて、アニメ映画だからこそできるアクションシーンや愉快なシーンも多く、「ミステリをアニメでやる意味」を感じられる作品でした。
私はせっかちなたちなので情報量の多い映像作品って「小説に書いた方が速い……」と思ってしまうんですが、『天カス学園』は映像だからこそできる情報の詰め込み方をしていました。
ギャグとテーマの配分が素晴らしい作品でした。
『ピーター・ラビット』
うさぎのピーターはマクレガーの畑から作物を盗み、人間のビアと友情を結んで暮らしていて。ある日、マクレガーが突然死し、畑を乗っ取って遊んでいたところ、その親戚の男がマクレガーの屋敷にやってくる。ピーターは畑を取り返すため、家族と協力して男を亡き者にしようとする。
本当に邪悪な作品なんですが、全方位に邪悪なので「アリかな」と思えてくるところが面白いんですよね。
マクレガーもピーターもクズなのはもちろん、マクレガーが務めていたハロッズの支配人、豚やにわとりという動物たちに至るまで、どこかしら問題を抱え、作中でそれを笑い飛ばされます。
特定のキャラクターだけがばかにされ、差別的な扱いを受けるということがないので安心して見られます。
ヒロインのビアでさえ、動物に対して盲目で、「田舎の人間にとっての害獣」がどれだけ迷惑かを理解していません。ある意味動物愛護への皮肉なんですよね。
やりたい放題やっているように見えて、実のところ「みんな違ってみんなクズ!」という人間(動物)観に基づいている作品です。バランス感覚がないと作れないでしょう。
『エクストリーム・ジョブ』
なかなか結果を出すことができず上司に叱責ばかりされている麻薬捜査グループの5人は、麻薬取引グループの張り込みをするため監視すべき建物の前のフライドチキン店を買い取る。しかし、そこで売った韓国チキンが売れに売れ、5人はチキンを作って売ることに忙殺される。
麻薬捜査班がチキンの店を経営しているうちにどんどんチキンが売れてしまって、麻薬捜査班なのかチキン屋なのかわからなくなっていく感じがすごく笑えます。
好きなシーンは「いらっしゃいませー!(日本語)」と言って手を叩くところと法外な値段を設定してもお客さんが来てしまうところですね。
あと「ばちばちににアクションをするアジア人女性」が見たい人はぜひチェックしてほしいです。女性のアクションシーンがとてもきれいだから。邦画やハリウッド映画でアジア人女性が殴り合うシーンってあまりないです。
トンチキで楽しかったです。
『カメラを止めるな!』
田舎の廃墟でゾンビ映画を撮影中の一行。監督は本物の表情を取りたいと躍起になっている。そこに本物のゾンビが現れ……。
算や使えるセットに限りがありながら、その「使えるもの」を最大限に生かして最高のものを作ってくれた。そこに面白みがあります。
逆にこの監督に潤沢な予算が付いたら、どんな作品を作れるのか知りたいです。
そして見ていてうれしいのは、作中で「何かを作ること」の面白さが最大限肯定されていることです。他人と何かを作るのは楽しいことばかりではないし、複数の人の意見を調整してやっていくのはとても難しいです。現に、作中でもぐっだぐだになってしまっています。
でもそれでも、物語を作ることを通して、心が触れ合う一瞬の奇跡が起こる。その奇跡があるからこそ、何かを作りたいとまた思ってしまうような作品でした。
『Mr.&Mrs.スミス』
倦怠期を迎えつつも、ごく普通の夫婦として過ごしていたスミス夫妻。しかし二人は別々の組織で活動する殺し屋だった。お互いの正体を知った二人は、正体を知ったものは抹殺すべし、という組織の掟に従って殺し合いを始める。
恋愛ものだとか夫婦ものってどちらかが「守ってあげる」ような内容になりがちなんですが、この作品はお互い殺し屋でものすごく強いのでそういうところがないです。新鮮です。
しかし共感できないかというとそうでなくて、夫婦のちょっとしたいさかいや、いらいらするところや、不満をためこみがちなところはいかにもありそうな内容なんですよね。その部分が荒唐無稽な設定にリアリティを与えていると思います。そしてそのおかげで二人が魅力的に見えます。
ドンパチするアクションシーンも楽しくて、はらはらするというより二人を応援する気持ちで見ていました。
『超高速! 参勤交代』
時は徳川吉宗の時代。老中に言いがかりをつけられ、「4日で参勤交代せよ」と命じられた貧乏藩は、創意工夫を凝らして参勤交代に挑戦する。しかしそこには大きな陰謀が張り巡らされていた。はたして彼らは江戸にたどり着くことができるのか。
設定からわかるようにコメディ色の強い時代劇です。展開はいつも前向きで明るいので、友達や家族と見やすい映画ですね。
そんなありえない設定ながら勧善懲悪だったり、人情味があったり、チャンバラ要素があったりと、時代劇のお約束を守っているところがよかったです。今風の要素と、時代劇の要素がうまくマッチしていたと思います。
キャラクターも濃くて面白かったです。結構いいかげんなのに人望があるお殿様とか……。でもこういう雰囲気を高めてくれるリーダーみたいなのは好きになってしまいますよね。ほかのキャラクターたちもどこかおかしくて笑えます。楽しかったです。
『ローラとふたりの兄』
月初めの木曜日には両親の墓の前に集合する習慣のある、ローラとふたりの兄。ピエールは三回目のブノワの結婚式で、新婦の名前を忘れるという失態を犯してしまう。そのことでけんかになったブノワとピエールを、ローラは取り持とうとする。迷惑をかけたりかけられたり、兄弟の絆とめんどうくささを描く。
三兄妹のやらかしや葛藤は「あるある」と思うもので、どこの国へ行っても人間関係の悩みというのはついて回るのだなと思います。
ハンドクラフトにハマっている身内から怪しげなアクセサリーを押し付けられそうになったり、失業したことをなかなか言い出せなかったり、家出した義妹を家に泊めたり、この辺は日本でも起こることですよね。
面白おかしい内容ではあるんですが作品の後半はほろりと来ました。みんなだめなところあるけど愛はあって、愛がみんなを繋げています。家族って本当に面倒くさいけど希望でもあるんですよね。
誰かを愛することが人をまともにしてくれるのかもしれない、そんな気がしました。
以上です。興味があるものがあれば見てみてください。