あらすじ・概要
懲罰勇者一行は第二王都へ向かう。そこでまた、やっかいな仕事を任されるが、侮蔑の対象である懲罰勇者は他の人間たちの協力を得るのも難しい。一方で、人間たちも、魔王現象に従うものと抵抗を続ける者とで分断され始めていた。
自分のことを国王だと思い込んでいる男の正体
自分のことを国王だと思い込んでいる男、ノルガル回でした。様子がおかしいだけで、言っていること自体は間違いではないんですよね。
ノルガルが勇者になったきっかけがなんとも切ないです。設定的に大団円にはならなさそうですが、彼らの思いがいつか報われてほしいです。
「人間の真似をしている人外」のシチュエーションが多くて楽しかったです。私は、言葉が通じはするけれども価値観が根本的に合わない人外が好きです。
「共生派で何が悪いのか?」という疑問を全力で押し潰してくる倫理のなさ。でも魔王現象だから悪いというわけでもなく、人間も害虫にはこのくらいの態度だろうと思ってしまいます。
ライノーは安定してひどいですね。そこが好きですが。
前巻終盤で懲罰勇者になってしまったパトーシェですが、彼女も非常につらい立場に置かれてしまって読者としても苦しいです。でも私はパトーシェのような気高くて優しいキャラクターが大変な目に遭ってるのが大好きなんですよね。美しい心を持っているからこそ泥にまみれているのが似合います。
作中では数少ない常識人キャラなので、そういう立場としても頑張ってほしいです。