あらすじ・概要
事件のときに巻き上がる、被害者家族や近隣の人への報道被害。過剰な報道はどのように生まれ、どう人々を侵害するのか。報道被害への研究を通して、マスメディアが本当に報道すべきことは何か見えてくる。マスメディアと人々の関係を書いた本。
報道と市民の正しい関係、距離感とは
ジャニーズの報道について、思うところがあるので、書店で見かけて買ってみました。
最初に言っておくと、私はジャニーズの解体にも賛成ですし、あの企業は社会に批判されるべき存在だと思います。
ただ、同性愛をおもしろおかしく揶揄するような表現は避けるべきですし、虐待サバイバーであるジャニーズのアイドルたちに告白を強要するのはやめてほしいです。
とはいえ、アイドルたちもジャニー喜多川の価値観に洗脳されていたふしがあるので、加害者であり被害者でもある人たちもいます。
話を戻すと、この本は過剰な報道によって生活をめちゃくちゃにされた人々の話です。
日本の犯罪史に残った、松本サリン事件のメディアによる冤罪も紹介されていました。記者は警察官と関係を持っており、私的な手伝いや家族付き合いをしていることを知りました。そういう警察官が捜査情報を流しているようです。ズブズブ過ぎて引きました。
なぜ過剰な報道が起こるのか、一端がわかった気がします。
著者は、報道は市民のためにあるものであり、取材をするのも市民への奉仕であると説きます。権力者にとって都合の悪い真実を暴くのが仕事であって、市民を報道被害で汚すことではありません。
ただ、後ろ向きな内容だけではなく、救いのある話もありました。著者は被害者家族と報道関係者を結びつける運動をしています。その中で、相手の事情を知り、価値観を変える人たちもいます。
つらいだけの内容だと悲しいので、救いがあってよかったです。