ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

『ミモザの告白2』八目迷 ガガガ文庫 感想

このブログには広告・アフィリエイトのリンクが含まれます。

ミモザの告白 2 (ガガガ文庫)

 

あらすじ・概要

咲馬と無理やりキスしてしまった汐(うしお)。それ以来ふたりはぎくしゃくしてしまう。そんな折、文化祭で「ロミオとジュリエット」の劇を上演することになり、咲馬と汐はロミオとジュリエットの役をすることになる。クラスメイト、星原も含め、ふたりの関係は複雑化していく。

 

普通に受け入れることの難しさを感じる

思春期100%の話でした。

何でこいつら一貫性もなくふらふらしているんだよ! と思いつつ、自分も思春期はこんなものだった気がします。できることが増えても、体が成長しても、心の置き所はわかりません。

汐に好意を抱くゆえに汐を受け入れたいと思う星原や主人公ですが、やはり自然に受け入れるところまではいきません。そして、マイノリティ側の人間が、自然に受け入れられないことに苦しくなるのもわかります。

自分がどうしたいのかもわからないまま、汐と咲馬はシェイクスピア劇のロミオとジュリエットの舞台に立ちます。

 

汐は咲馬が好きなんだろうし、咲馬もそれにうすうす気づいているのでしょうが、ふたりが本音を言えないのもわかります。

潔く振る・振られるという過程を踏んだとしても、「女の格好で男に告白した男」「女の格好をした男を振った男」になってしまいます。そのことに対して自分や周囲がどう思うか、心配するのは理解できます。

 

作中のチャラ男、世良が言うように、汐は自分のセクシュアリティを受け入れてくれる場所に行く方がいいのでしょう。

しかし、登場人物はまだ高校生で、自力で遠くへ行くことができません。そしてやはり、生まれた土地への思い入れもあります。

遠くで受けいられるのではなく、今、ここで自分らしく生きたいという汐の葛藤には心が苦しくなりました。