ブックワームのひとりごと

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『はじめてのフェミニズム』デボラ・キャメロン ちくまプリマ―新書 感想

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はじめてのフェミニズム (ちくまプリマー新書)

 

あらすじ・概要

フェミニストはなぜ対立し、意見が分かれるのか。フェミニズムの歴史や、それぞれのテーマの意見が分かれる点について、丁寧に解説していく。対立を対立のまま理解し、フェミニズムのこれからを考える、

 

フェミニズムの抱えるややこしい問題をややこしいまま語るのに誠実さを感じる

いわゆる「スカッと系」の真逆であり、フェミニズムの抱えるややこしい問題をややこしいまま伝えようとした本です。

若者向けのレーベル、ちくまプリマー新書にしては難易度が高めなので、プリマー新書のカテゴリにしなくてもよかったのではと思います。若者にとって必要な情報ではありますが。

 

仕事の問題、女らしさの問題、セックスの問題と、章ごとにフェミニストたちの議論や対立構造が書かれています。女性も外に出て仕事をするべきと言うと、今まで母として家庭で働いてきた人たちが居場所を失います。また、女らしさを否定し、ニュートラルな教育を目指すと、逆に古典的な女らしさ――例えばお人形遊びやフリフリのお姫様のような洋服――が好きであることをどう扱えばいいのかという疑問が生じます。

 

対立構造を明らかにすることをテーマにしながら、著者が悲観的になりすぎない語り口でよかったです。

 

結局、女性の価値観は多種多様なのに、政治をやるためには何かしらの旗印が必要である、という矛盾があります。

しかし民主主義社会では他にいい手段がありません。やるべきことはやらなければなりません。