ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

『皇女アルスルと角の王』鈴森琴 創元推理文庫 感想

このブログには広告・アフィリエイトのリンクが含まれます。

皇女アルスルと角の王 〈六災の王〉シリーズ (創元推理文庫)

 

あらすじ・概要

人より強い力を持つ生き物「人外」がはびこっている世界。父親を殺害したとして濡れ衣を着せられた皇女アルスルは、裁きの過程で人外リザシーブと出会う。予言の力を持つリザシーブは、アルスルに奇妙な予言をする。アルスルは、リザシーブと心を通わせ始める。

 

性と血の匂いがする大人向けファンタジー

性的な話題が多く、大人向けのファンタジーでした。面白かったです。

登場する人外たちもセクハラ発言が多いのですが、人外だからしょうがないな……とギリギリ許せます。人外だと許せてしまうのはどうしてでしょう。

 

主人公アルスルは「人間らしくない」キャラクターですが、だからこそ人外とコミュニケーションを取り、特異な関係を作り出すことができます。

1巻におけるラスボスを倒すときも、シビアで現実的な理由から倒すのもアルスルらしかったです。人が人でないものを倒す理由なんてわがままなものですよね。

しかし、この作品における社会が、アルスルに求める「人らしさ」も私の立場から見れば怪しいものに思えるので、闇が深いです。

 

ハードで細かい設定とは裏腹に、「メルティングカラー」や「フェロモン・キャンディ」などの英語由来の造語がどんどん出てきます。さすがに、言語もオリジナルだと話についていけなかったかもしれないので、英語で済ませてしまうのは妥当でした。

 

独特の世界観、キャラクターが魅力的で一気に読むことができました。面白かったです。