あらすじ・概要
大正時代の日本、人情味あふれる人々が生きている町。そこで食べ物と人間関係にまつわる物語が起こる。神経質すぎる菓子職人、不思議な仮面をかぶった古本屋、病気になった妻を看病するためにおかゆづくりに挑戦する夫など。読んでいてほっこりする連作短編
何気ない漫画だけど面白い
何気ない漫画ではありますが、ずば抜けて絵がうまいです。こういう昔の風景を描いた漫画は、画力の高さがものを言いますね。
背景も人物もしっかり描きこまれています。
取り上げる食べ物も、和菓子、赤飯、キャラメル、金平糖など、奇をてらわずごく普通に見かけるものから選んでいるのもよかったです。当時は贅沢品だったものもありますが、私の日常と繋がるような気がして親近感を持ちました。
連作短編の形式で、前に出てきた登場人物がちらほら他の話に現れるのも楽しかったです。元気そうにしていると嬉しい。
昔を舞台にしているので、今となってはジェンダー観が古い描写もあります。でもこういう描写は、昔を舞台にするからこそやれるものでもあります。現代の世界であれこれ女性に家事を押し付けていたらムッとしてしまいますからね。
ノスタルジックでのんびり読める漫画でした。面白かったです。