こないだ読んだサンソンの新書が、面白かったけれど若干感情的に過ぎる気がして、もう一冊読んでバランスを取ろうと思いました。
書籍概要
七代にわたってパリで死刑執行人を担当してきたサンソン家。フランス革命を中心に、彼らの歴史を紐といていく。そこには、時代によって変わる死刑へのまなざし、死刑執行人に対する差別への歴史があった。
シャルル=アンリ・サンソンについては結構辛辣
この本を読んだ動機は、フランス革命の時期に死刑執行人になったシャルル=アンリなんですが、彼に対して結構辛辣なのでちょっと笑えました。
紳士気取り(スノバリ)は首切り人の権利ではなかったのに、シャルルーアンリは気取り屋(スノブ)であった。彼は、みずからロンヴァルの騎士(シュヴァリエ)と名乗ったばかりではなく、青色のコートを着て剣を下げていた(後略)
(p51)
「気取り屋」と呼び、折に触れてかっこつけなところを強調する。気取った男に何か恨みでもあるのかと思ってしまいました。
ただ、シャルル=アンリが知識人で人格者だということは認めていたので、著者は別に嫌いではないと思います。
この考えが著者の独自の考えなのか、研究者に共通した考えなのかはわかりませんが、なんだかおかしくてにやにやしてしまいました。
時代によって変わる「死刑」の意味
王政→革命→恐怖政治→ふたたび王政とコロコロ政治のしくみが変わる中で、「死刑」というものの考え方も次々変わっていきました。そりゃあ、サンソン家も混乱しますよね。
「死刑」がもてはやされるものから、汚らわしい野蛮なものとみなされ、再び差別が強くなるのはかわいそうでした。
そんな不穏な情勢の中、サンソン家が仕事を変えられなかったのは、処刑人への根強い差別があったからこそです。
誰かがやらなければならない仕事なのに、差別され続け、最後は給料もさほどもらえなくなってしまう。やりきれない話でした。
まとめ
フランス革命の本は何冊か読みましたが、処刑人の視点から読むとまた変わった知識が得られますね。
分厚くて読みづらいですが、死刑という刑罰を知りたいと思っている方にはおすすめです。
パリの断頭台 〈新装版〉: 七代にわたる死刑執行人サンソン家年代記
- 作者: バーバラレヴィ,Barbara Levy,喜多迅鷹,喜多元子
- 出版社/メーカー: 法政大学出版局
- 発売日: 2014/03/03
- メディア: 単行本
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死刑執行人サンソン ―国王ルイ十六世の首を刎ねた男 (集英社新書)
- 作者: 安達正勝
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2003/12/17
- メディア: 新書
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