エッセイが読みたくなって買ってきました。
この本が出たばかりのときは「看護師」ではなく「看護婦」だったんですね。
あらすじ
看護婦の著者は病棟でいろいろな人に出会う。夫婦関係を見つめなおす人、精神病棟で寄る辺なく生きている人。病をきっかけに暴かれる、人間性を淡々と見つめるエッセイ本。
淡々として読みやすい看護エッセイ
非常に文章が読みやすくてさくさく読めました。
内容としては過酷なのですが、著者の視点が常に冷静で読みやすかったです。自分のネガティブな感情も観察対象のように扱っているところが、ドライでよかったです。
文章的には淡々としていますが、その患者さんを目の前にしているときは冷静でいられないときもあっただろうな、と察することができる話でした。
20年ほど前のエッセイなので、多少情報として古いところはあります。しかし病人に寄り添う仕事の難しさ、看護する側の葛藤を知るには今でも良い本なのではないでしょうか。
自分の感情を冷静に見つめようとするのは、やろうと思ってもなかなかできるものではありません。
病によって変わっていく人
もう一つよかったのが、「余命いくばくもない人ががんばる」のような内容が少なくて、病によって変わっていく患者自身の心を描いていたことです。
日常生活では病を受け入れ、高潔に暮らしている人がクローズアップされてしまいますが、そうできない人も多いわけで。頭ではわかっていましたが、実際に看護の世界を見てきた人にそう言ってもらえてよかったです。
病を受け入れられるほうがいいに決まっているけれど、そうできないからといってその人のいままでの人生が否定されるわけではありません。
そういうところが、この本の優しさだと思いました。
まとめ
とても読みやすく、また看護という仕事を知るきっかけになりました。冷静な視点で描かれていてよかったです。
さくさく読めて面白いので、気軽におすすめできる一冊です。