ブックワームのひとりごと

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少年兵への憎悪と庇護の間で揺れる軍人がつらい『ヒトラーの忘れもの』感想

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ヒトラーの忘れもの(字幕版)

今日の更新はドイツ・デンマークの映画『ヒトラーの忘れもの』です。

Amazonからビデオのクーポンをもらったのと、週末100円セールがあったのでレンタルを買ってみました。

 

あらすじ

WWⅡ終結間もないデンマーク。捕虜になったドイツの少年兵たちが、砂浜で地雷を処理する仕事をさせられることになった。危険な仕事のため、死亡・負傷するものが絶えない。軍曹ラスムスンは、最初は彼らに辛く当たるが、次第に情が移り、少年兵たちを祖国に帰してやりたいと思うようになる。

 

憎悪と庇護の間で揺れる軍人

100分なのでやや短めだけれど、コンパクトかつ濃厚にまとまった作品だったと思います。

特に、祖国を蹂躙したナチス・ドイツへの憎悪と、少年たちを守ってやりたいという願いの間で揺れるラスムスンの葛藤がよく描かれていました。

手をふっとばされて母親を呼ぶ子や、自死という形で人生を降りようとしてしまう少年兵。地雷を取れという命令はできるけれど、本質的には彼らに何もできない自分という構図は辛いだろうなと思います。

ラスムスンを見つめる、少年たちのあきらめたような穏やかな顔が、切なく恐ろしかったです。

 

自分のベストを尽くしたラスムスン

最後は少しだけ希望のある終わり方でした。あの後少年たちがどうなるのかはわからないけれど、あそこで終わってくれてよかったと思います。

もしかしたらあの後少年たちは死んでしまうかもしれないし、故国にたどり着けないかもしれません。でもラスムスンは自分のベストを尽くしてあそこにたどり着いた。それだけが救いでした。

いた場所と時代が違えば、平穏に学校に行ったり友達と遊んだりしていたかもしれない。それを思うと苦しいものがありました。

登場人物はいい人というわけでもないけれど、それでもこんな境遇になるほど悪いことはしていないはずなんですよね。それが虚しく切なかったです。

 

まとめ

かなりハードな作品だったんですが、面白かったです。少年兵たちがどこかで幸せに暮らしているといいなあ。

ドイツ語がいっぱい出てきて、わりと聞き取りやすいのでドイツ語を勉強している人にもおすすめです。

 

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