今日の更新は、『沖縄の怖い話 琉球怪談物語集』です。
これももうPrimeリーディングからは外れちゃったみたいですね。
書籍概要
沖縄に移住した著者は、沖縄の怪談に興味を持ち、収集を始める。沖縄の亀甲墓、霊場であるウタキ、霊能力者のユタ、沖縄戦や米軍基地など、沖縄の文化が密接に絡んだ怪談集。
怪談から見る沖縄の宗教観
私は怪談は好きだけど懐疑主義者なので、起こっていることをすべて信じてるわけではないです。
むしろ実際に自分に起こったら、まず「気のせい」を疑うタイプだと思います。
ただ、この怪談集には、本土にはない沖縄独特の文化が感じられて面白いです。
まず、ダンスホールに肝試しに行った怪談で、登場した一文がこちら。
そのユタは高齢のうちなんちゅであったので、トオルの背後に憑依しているアメリカ人の霊とは話が出来ないとぼやいた。
(292)
えっ、言葉が通じないと霊と会話ができないんだ……。
ここ以外にも「アメリカ人の霊は英語ができないと祓えない」というシチュエーションが出てくるので、沖縄の怪談としてはよくあるパターンのようです。
死後も言語に縛られるっていうのは、なんだか不思議な気がしますね。でも、お経や祝詞はことばなのだから、ある意味正しいのかもしれません。
また、黒魔術に関する怪談で登場した牧師のエピソードがこちら。
あるとき、夢の中に、二人の神様が現れて、大城牧師にこう告げた。 「あなたは前世では権現の神様に仕えたが、そのまた前世ではキリストの神に仕えた。今生ではどうするか、自分で決めなさい。
(1588)
ものすごい世界観のクロスオーバーですね。輪廻転生は仏教の思想ですし、「権現(ごんげん)」は仏が神の姿で現れることなので神道だし、そこにキリスト教までぶち込まれている。
こういうさまざまな文化がちゃんぽんになった上で語られる怪談というのは、新鮮で面白かったです。
沖縄の文化が身近ではないので、ある種のファンタジーみたいに読んでしまったところがありますが、その場に住んでいる人にとってはまた違うのでしょう。
まとめ
怪談を信じているわけではないんですが、沖縄独特の文化や宗教観を垣間見るにはよかったです。
不思議な話や、異文化が好きな人にはおすすめです。
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