ブックワームのひとりごと

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地味だけれどじんわり面白い学園連作短編―岩岡ヒサエ『花ボーロ』感想

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花ボーロ (IKKI COMIX)

今日の更新は、岩岡ヒサエ『花ボーロ』です。

一巻完結の漫画を読むシリーズ。

 

あらすじ

先生、生徒、給食の調理人、彼らは関わり、すれ違い、それぞれの物語を紡いでいく……学校を舞台にした、連作短編漫画。

 

登場人物がいい人だけれど嫌味じゃない

ひねくれているので、登場人物にいい人が多い漫画はちょっと斜に構えて見てしまいがちなんですが、この漫画はあまり抵抗感なく読めました。

キャラクターの行動のユーモラスさや、何気ない日常の積み重ねが違和感を減らしてくれていました。

設定や展開にリアリティがある、という感じではないんですけれど、絵から匂いや手触りを感じられそうな描写力があって、ぐいぐい読めます。

実際、こんな優しい人ばかりの世界ではないんですが、それでも「こんな学校があったらいいな」と思える作品でした。

 

個人的に好きなのは給食室の職員の話「悩める先生」です。筋トレが趣味な女子教師が、給食室の職員と惹かれ合うんですが、彼女は「太っている人が怖い」という原因不明のトラウマがあるんです。

ラブストーリーなんですけど、オチに笑ってしまいました。あのふたりは幸せに暮らしてくれるといいですね。

ほほえましい話でした。

 

絵本のようなかわいらしい絵柄も魅力的です。

いい意味であまり漫画っぽくないので、逆に心に引っかかる感じがします。フックがある、というやつですね。

非常に地味な作品ではあるんですが、読み進めるとじんわり面白い、そういう漫画でした。

一休みしたいときに、ゆっくり読むのがおすすめです。

 

まとめ

じっくり読むのに最適で、面白かったです。

土星マンション』も読みましたが、この作者は短編の方が好きな気がするので、また短編集を読んでみたいですね。

花ボーロ (IKKI COMIX)

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