今日の更新は、萩尾望都『恐るべき子どもたち』です。
あらすじ
萩尾望都がフランス文学をコミカライズ。少年ポールはダルジュロスに雪玉をぶつけられたことをきっかけに寝付いてしまう。姉のエリザベートは彼を世話することになるが……。
原作を読んだときにも思いましたが、本当に病理家庭だなあ。
ポールが寝込んでいるのは心理的な面もあるのだろうし、彼をからかったり追い詰めたりするエリザベートには代理ミュンヒハウゼン症候群みたいなところがあります。
ふらふらしているのを許してしまう周りの同情心と、彼らの財産。大人になれない子どもたちの話なんですよね。
常に情緒不安定な彼らは、見ていて正直いらいらします。しかし、「こういう風に育ったらこうなるわな」という納得感があります。
子どもたちの王国に暮らせるのは、うらやましい気もしますが、でもやっぱり嫌だなあ。
それでいて、その破滅へと突き進む子どもたちが退廃的で美しいです。作者のファンタジックな絵柄も相まって、現実と空想の間をふわふわ行き来するような感覚を覚えます。
こういう展開を「美しい」と言ってしまうのは少し罪悪感があるけれど、実際そうなんですよね。
美しい地獄に興味がある方にはおすすめです。
まとめ
地獄みたいな話なんですが、その地獄が美しいというたちの悪いストーリーです。
幻想的で狂気的な話でした。
萩尾望都作品集 (〔第2期〕-7) 恐るべき子供たち (プチコミックス)
- 作者: 萩尾望都
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1985/02
- メディア: コミック
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原作の感想はこちら。