今日の更新は、荻原規子『西の善き魔女3 薔薇の名前』です。
あらすじ・書籍概要
いとこのアデイルとともにハイラグリオン宮中に上がったフィリエル。フィリエルはそこで、複雑怪奇な貴族の文化を知る。襲われそうになったフィリエルを見たユーシスは、彼女にプロポーズをする。身の安全と、ルーンへの思いの間で揺れるフィリエルだったが、ルーンは冷たく……。
フィリエルとルーンがした決断が強い
この巻ではフィリエルとルーンがそれぞれある決断をします。それがまあ、びっくりするぐらい「強い」んですよね。
読み返してみるとフィリエルはハイパー恋愛脳だし、ルーンも大概でしたね。彼らふたりは相手のためになら何だってする気があります。
それはもう恋愛という枠には収まらない、運命の片割れと言っていいようなものです。何だかここまで来ると「恋愛が身を滅ぼす」という安易な説明では不十分です。
腹をくくったフィリエルは、もう無敵の女の子なのでしょうね。ルーンのために駆け抜けてほしいです。
ルーンはかつて自分を介抱してくれた医者であり、王立研究所にいたこともあるメリング医師に、こう言われます。
「わしらの生き方は、女性を泣かせる。(中略)愛する女性を、たとえ愛していても、幸福にしてやることができないのだ」
(P118)
でもルーンは結局ルーンであることをやめられませんでした。学者であることは、彼の重要なアイデンティティであり、捨てることができないものだったのでしょう。フィリエルは最初からそれをなんとなくわかっていたし、だからこそこの巻で旅立ったのですね。
ルーンの行くところならどこだって行くという気合が最高にかっこいいです。フィリエルは強い女の子だなあ。
『西の善き魔女2 薔薇の名前』まとめ
フィリエルマジ強い……と思いながら読み終わりました。強い女の子っていいですよね。
ルーンがどんな形で怒られるのか、次巻が楽しみです。