ブックワームのひとりごと

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老後はお金があればいいわけではなかった―堀田あきお&かよ『親の介護、10年め日記。』

親の介護、10年め日記。 (本当にあった笑える話)

今日の更新は、堀田あきお&かよ『親の介護、10年め日記。』です。

 

あらすじ・概要

夫婦漫画家の著者ふたりは、歩けなくなった妻の母親の介護を帰省して行いながら東京で仕事をしていた。そんな中、父親が腎不全で入院。いよいよ母の世話ができなくなったことから、老人ホームを探し始める。しかし、父もまた様子がおかしくなってきて……。

 

こんな人におすすめ

  • 親の介護について知りたい人
  • 自分の老後について知りたい人
  • 遠距離介護について知りたい人

 

老後にボケて浪費してしまう可能性について

この作品で一番怖かったのは、著者の父親がタクシーで何時間も徘徊し、母親の貯金をすっからかんにしてしまったことです。そのせいで、母親は有料老人ホームに入ることができなくなり、価格の安い特別養護老人ホームに申し込むことに。

とりあえずお金を貯めておけば老後は安心だろうと思っていたのですが、認知症になった結果お金を浪費してしまう可能性は考えていませんでした。衝撃。

でも確かに自分で浪費しなくても詐欺にひっかかったり、泥棒にあったりする可能性はあるので、お金があれば安心とはいきませんよね。

「老後の安全は最後は人脈」という言葉が現実味を帯びてしまいました。人間関係の構築苦手なのに……。

 

それからお金が必要になって父親の預金を下ろそうとしたとき、何度も出直すはめになって大変なことになるシーンが印象的でした。

私は銀行に勤めていた身内にいろいろ聞かされたので、本人以外の人がお金を下ろしに来たときめちゃくちゃ慎重になるのわかるんですよ。本当に認知症の人のお金を取っちゃう人っていうのは多いそうです。何なら肉親でも信用できないくらい。

でも実際必要だから下ろそうとしている人にとっては、腹立たしいのでしょうね。

こういうときはまず電話か何かで「何が必要ですか」と問い合わせておくと無駄足が少なくていいですよ。向こうも楽だし。

 

面倒な福祉システムや医療に怒りつつも、少しずつ弱っていく親に「せめておだやかに過ごしてほしい」と願う。そんな著者ふたりの姿に少し救われました。

介護は苦しい。だけど、救いがないわけではない。怒りと切なさの漂う作品でした。