あらすじ・概要
子宮筋腫をきっかけに、子どもを作ることを決意した漫画家夫婦。しかし妻のかよは、子どもができにくい体質だった。一度の流産を経て、人工授精という西洋医学から、東洋医学漢方の漢方も試すが、結果は芳しくない。やがて体外受精しかないという結論に達するが……。
医者の無理解がつらい漫画
つらいシーンが多く、それほどページが多くないのに休み休み読んでしまいました。自分は子どもができにくいと知った日、せっかく妊娠したのに流産をした日、医師に高圧的に接せられた日……。
「子どもがほしいがなかなかできない」という夫婦の、不妊治療によって揺れ動く心が丁寧に描かれていました。
特に不妊治療を施してくれる医者たちの冷たさが読んでいて苦しかったです。今はここまでではないと思いたいですが、子どもができなくて悩んでいる人への態度ではありません。子どもができるかどうかは運要素も大きいのに、さも本人の努力が足りないような物言いをすることもあります。
患者を支えるべき医師がこの態度なのは、かなり問題だと思います。
いっそ産婦人科にもカウンセラーを置くべきなんじゃないかと思えてきました。
子どもがほしい人が不妊治療を受けるのだから当たり前なんですが、不妊治療は生殖至上主義になりがちです。でもふたりで生きていくこともできるし、何なら養子をもらうこともできます。選択肢が必要なんだよなと思う作品でした。
夫の口調がかなりガラが悪く、罵倒もするので、そこは好き嫌いが分かれるかもしれません。最後には納得してふたりで暮らすことを決意するので、ちゃんと愛があることはわかるのですが。