ブックワームのひとりごと

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『羅小黒戰記 ぼくが選ぶ未来』感想とフーシーに同情した話

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【映画パンフレット】羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来 花澤香菜, 宮野真守, 櫻井孝宏, 斉藤壮馬, 松岡禎丞, 杉田智和

 

あらすじ・概要

人間の土地開発によって住んでいた森を追われた猫の妖精、シャオヘイ。人間の街をさまよっていた彼はフーシーと言う要請に拾われる。彼の仲間になったシャオヘイだったが、そこに執行人、ムゲンが現れる。ムゲンとフーシーの戦いの中でムゲンに捕まったシャオヘイは、なりゆきで彼と旅をすることになる。

 

かわいい2倍でお得です

普段サブタイトルにとやかく言わないけど、このサブタイトルは最高にダサいな……?

それはともかく。

 

ストーリーはそれほど複雑な伏線がないタイプのもので、プロットとしては無駄なシーンも多いです。しかしその無駄ともいえるシーンがめちゃくちゃかわいいです。

シャオヘイがムゲンと過ごす旅の途中での何気ないできごとや、キャラクター同士のコミカルなやりとり。そして雄大な自然の描写。

中でも私のお気に入りは猫形態のシャオヘイの動きがめちゃくちゃかわいいところです。猫好きは全員見るべき。しかし猫の姿でいるシーンはそれほど長くはないのでした。にゃんこの動作だけ詰め合わせが見たい。

 

あとすごくいいのがムゲン師匠のキャラクター。無口でそっけなく、最初は敵かと思うのですが、徐々にシャオヘイの味方をしようとしてくれていることがわかります。

倫理観が高く親切で強い、顔もイケメンと完璧超人のような人なのですが、方向音痴、天然ボケと好きになってしまう欠点も兼ね備えています。こんなにキャラ設定が渋滞しているのにめちゃくちゃかわいい……。そして何かと人や妖精を助けてしまいます。絶対無自覚にハーレム作ってるわ。

そんなかわいいシャオヘイとかわいいムゲンが合わさっているのでかわいさ2倍でお得です。

 

最後になってしまったけれどバトルアニメとしても大変面白いです。樹木や水、金属を使った能力バトルは魅力的でした。

今の日本アニメと言うよりも、昭和後期~平成初期のアニメの進化系のように見えますね。設定やキャラデザのせいでしょうか?

 

(ここからネタバレ)

 

フーシーにめちゃくちゃ同情してしまった

さて、ネタバレ感想としては……私は今回の敵役、フーシーに強く同情してしまいました

もちろん無関係の人を巻き込むのはだめなのですが、彼の「故郷を奪われた」という怒りは正当なものです。館の妖精たちは何かと人間を助けるのですが、いや住処を追われておいてそこまでする義理ないですよね? もちろん善意でそれをするのは止めないけれど、フーシーにそれを望むのは酷ですよ。

 

フーシーにシャオヘイが「人間と関わらずに暮らせばいい」と言ったシーンは心が詰まりました。自然や霊的なものを敬うのをやめ、人ならざる者の領域を犯したのは人間なのに、フーシーがどこかに去らなければならないのか、と。

だからこそ、ラストシーンは和解でなくてよかったです。彼は彼の倫理に殉じ、お仕着せの共生を拒んだのだ、と納得しました。

 

メタな話になってしまいますが、『羅小黒戰記』が多くの民族問題を抱える中国で作られたのはなかなか闇が深いです。

きっとフーシーみたいな人いっぱいいるよ。

なおさら言論統制のくびきから離れた中国コンテンツが見て見たくなってしまいました。