あらすじ・概要
イタリアの国民食、パスタ。小麦粉を練って作る麺で、短いもの、長いもの、変わった形のもの、さまざまな種類がある。パスタの歴史を紐解いてみると、そこにはイタリアの成り立ちや文化、ナショナリズムが関わっていた。今や世界中で食べられているパスタを元に、イタリア食文化の歴史を語る本。
多種多様なパスタから見るイタリアの歴史
読んでいるとだんだんお腹が空いてきました。多種多様なパスタの紹介に加えて、その土地でしか食べられないイタリアの地方料理について紹介しています。思わず単語をググって食べ物の画像を探してしまいました。
あらすじ欄でも述べましたがイタリアのパスタは本当に多種多様で、その地方でしか食べられていないパスタや、カタツムリ型などの特殊な形状をしたパスタが存在します。その種類について読んでいるだけでも面白いです。
そして後半の、食べ物に過ぎないパスタがナショナリズムやジェンダーと結び付けられてきた歴史が一番興味深かったです。
小さな国家が乱立する状態だったイタリアにおいて、国としてまとまるには「統一された文化」が必要でした。その過程で、「イタリアといえばこれ!」という食文化も生まれて来たという話です。
イタリアに限った話ではないんですが、「国民国家」というものは作られるものなんだなと再確認しました。
そしてイタリアにおいてはパスタは「母性」と結び付けられてきました。母親の作る手作りパスタというものが幸せな家庭の象徴として扱われてきた歴史があります。一方で、イタリアは女性の社会参加が遅かった国でもありました。
パスタを作る女性は確かに懐かしく愛おしい。しかし、その固定観念こそがイタリアの女性を縛ってきたのではないか……という事実は心苦しいです。
日本で言うと「お母さん食堂」問題のようなものですね。
たかがパスタされどパスタ。常に政情不安を抱えたイタリアで生まれた食べ物は、歴史にもその情勢を映していたことがわかりました。