あらすじ・概要
キャットシッターの第一人者である南里秀子。彼女が出会った猫たちも、飼い主たちも、さまざまな事情を抱えている。シッターとして人の家に入り、猫の世話をすることで、人と猫の関係が見えてくる。楽しいことから不満なことまで、猫と働く生活を描いたお仕事エッセイ。
猫と人との関係については面白かったけどホメオパシーには引く
一本が短い上に読みやすいのでさくさく読めました。短時間で読み終えることができます。時間つぶしにはちょうどよかったです。
シッターに向かう家は、きちんと手入れをされた家から、今でいう飼育崩壊をしている家まで、さまざま。頭の中で見た目を想像するとなかなかエグいシーンもあります。生き物と暮らすということは楽しいことばかりではないですよね。
著者は猫の世話をしてただお金を稼ぐだけではなく、飼い主向けに猫の勉強会を開いたり、飼い主の事情で飼えなくなった猫を引き取る施設を作ろうとしたり、猫と人に対して献身的です。そのパワーはすごいです。
また、従業員をキャットシッターとして独立させる「のれん分け」システムや、雇うときに上司である自分の性質を説明するシーンなど、経営面でも興味深いところが多かったです。まあこの手のシーンは脚色して書いているとは思いますが、それでもどうやって優秀なシッターを増やしていくかという戦略は面白いです。
と、内容は面白かったんですが、中盤で唐突にホメオパシーの話をし始めて引きました。ここ以外はすごく理知的で、冷静な文章なのですが。こういう似非科学を信じるかどうかと、社会性や知性とは関係ないんだな、と改めて思い知らされました。