あらすじ・概要
女性に月一回訪れる月経。その不快感を減らしてきたのが生理用品だ。戦前までの女性たちの月経対策や、日本初の生理用ナプキンアンネナプキンの誕生、布ナプキンを巡るイデオロギーと効果まで、日本の生理用品の歴史を追いながらジェンダーに与えてきた影響を論ずる本。
「穢れ」が生理用品の発達を妨げた
KindleUnlimitedで読了。
最近生理用品が何かと話題になることが多いので読んでみましたが、このタイミングで読んで正解でした。タイムリーにほしい情報が得られました。
日本において月経は「穢れ」のイメージがあり、タブーとして扱われてきました。それゆえ月経の処理も母から子へひっそりと伝えられ、他の女性と情報共有することがまれでした。
結果的に、(戦争による物資不足もあるとはいえ)日本では生理用品の技術がなかなか発展しませんでした。
この辺は今もうっすら存在する問題ですね。
そこに颯爽と現れたのが日本初の生理用ナプキン「アンネナプキン」。ある女性社長が起こした会社は、またたくまに大ヒットし、女性を生理のわずらわしさから解放しました。
その流れでさまざまな会社が生理用ナプキンの生産に参入し、生理用品の市場が発展していくこととなります。
このあたりのエピソードはプロジェクトXめいていて面白いですが、女性社長が美人だったゆえに周りの人たちからあれこれ勝手なことを言われていたり、今の感覚ではうえっとなる内容も多いです。昔って怖い。
最後の方では布ナプキンを巡る研究と著者自身の調査の食い違い、そこにあるイデオロギーについても書かれています。平成、令和になっても生理用品はイデオロギーに振り回されるのかという感じです。
生理用品の歴史は女性解放の歴史でした。生理のわずらわしさに振り回されている女性も、そもそも生理用品って何? という男性も、一読の価値があると思います。
ここからはちょっと話がそれるんですが、大丸梅田店の「生理ちゃん」バッジが話題になったとき、女性も含めて生理的嫌悪感を示した人が多かったのを思い出しました。
私自身も別に従業員さんの生理事情を知りたいとは思わないんですけど、本人がこのバッジのコンセプトに賛同し、自分の意思でつけているのなら、それは周りがとやかく言うことではないのではないでしょうか。
だって目の前の人が生理だと知って、それで私が何か損するわけじゃないし。
もちろんシモの話ではあるけど、それだって便秘や膀胱炎とかとそれほど違わないのでは?
でもこの「本人の意思を考慮しない、反射的な嫌悪感」こそが「穢れ」の思想なんだろうなあと思ってしまいました。