あらすじ・概要
統一教会を信仰する両親の元に生まれた三人の女性。今は教会とは距離を置き、パートナーと日常を送っている。女性たちは対談形式で過去のことを思い出し、当時の苦しみを語る。他の宗教二世たちにエールを送る本。
宗教二世たちの軽やかな過去話
「親がカルト宗教である統一教会にハマっていた」というテーマなので、重たい話も多いんですが、語り口は常に前向きで読みやすいです。
親と完全に絶縁したわけではないけれど適度な距離を保ち、教会に縛られないだけの自立心を持ってから、過去を思い出しているので読み手としても安心して読めます。
軽やかな言葉で過去の苦しみを語り、人と違った人生を歩んできたことを笑い飛ばすような三人に、ここまでたどり着けてよかったですねと言いたくなりました。
宗教二世なりの独特の悩みも面白かったです。宗教の教義の矛盾が気になって腹が立ったり、知らない相手と半ば強制的に結婚させられるときの葛藤や、逆にロマンチックな妄想、当事者でないと語れないことが多く掲載されています。
三人が「いい子」ではなくなったからこそ話せる言葉だと思います。
日本のメディアは新興宗教の話を避けるので、この本は個人出版以外では出すのは難しいでしょう。でもだからこそせきららな話を聞けてよかったです。この三人にも、他の宗教二世たちにも幸せがありますように。
