あらすじ・概要
普段歴史があるものとして認識されている「商店街」。しかしその歴史は意外と新しかった。商店街の発生から衰退までを政治史、社会史、商業史の観点から語り、商店街と地域社会の「これから」を考えていく新書。
商店街の今までと、未来をよくするためのこれから
あっさりした内容なのかと思っていたら大変内容が濃く、一読ではわからないところも多かったです。でもそれだけ著者が本に熱を入れていることがわかります。
商店街の発生は社会における零細小売業と政治の関係に深くかかわっており、実際の政党名を出しながらそれを解説していくのは面白かったです。今回の選挙の争点ではないとはいえ、長期的にはずっと考え続けなければならないテーマです。参院選前に紹介できればよかったのですけれどね。
批判的ではあるけれど、頭ごなしの批判ではなく、過去の良かったところは残そうとしているところが読みやすかったです。
商店街の発生と衰退の歴史を踏まえて、「家族」だけではなく「地域」や「個人」を支えるにはどうすればいいのか、最後にまとめてくれたところにはなるほどと思いました。やはり家族単位の福祉制度には限界があり、ひとりひとりを支援していく社会にシフトしてほしいですね。
新書としては蛇足なのかもしれませんが、「酒屋の息子」である作者が実体験として語るエピソードも面白かったです。この実体験があったからこそ書ける新書なのだろうと思います。