ブックワームのひとりごと

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寂しい少女が夢の中で理想の世界に迷い込む―『コララインとボタンの魔女』

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コララインとボタンの魔女 (吹替版)

 

あらすじ・概要

とあるお屋敷に引っ越してきたコラライン。両親は仕事で多忙で、コララインは寂しく暇を持て余す。お屋敷に遭った謎のドアを見つけてから、コララインは不思議な夢の世界に迷い込んだ。そこでは「別のママ」「別のパパ」がコララインを構ってくれ、おいしい食事やかわいい子ども部屋がある世界だった。

 

おどろおどろしく美しい夢の世界

原作は既読。かなりストーリーが違いますね。

honkuimusi.hatenablog.com

 

結構怖い内容で、ぞわっとくるシーンも多いです。

特に虫が苦手な人はちょっときついかもしれません。(虫モチーフのものがいろいろ出てくるので)

しかし「気味悪さ」と「美しさ」が同居する世界観の構築は見事です。きらきらとした輝きが、ふとした瞬間に露悪的なものになる。「きれいは汚い、汚いはきれい」の世界観です。

 

日常シーンの描写も皮肉が効いています。仕事で忙しくかまってくれない両親、それを批判的な目で見るコラライン。出会ったはいいもののよくわからない会話ばかりするご近所の変な人たち。

ただ、ボタンの魔女が作った理想の世界より、いいことも悪いこともある現実世界で楽しいことや嬉しいことを見つけていく方が尊い、というのがこの作品の結論なのでしょう。

現に、現実世界で得た交流が、コララインを助けるシーンもあります。

 

おどろおどろしい作品なので、怖がってしまう子どももいるかもしれないんですが、「子どもでもこのくらいの描写理解できるだろう」という製作者側のこだわりも感じます。なかなか面白かったです。

 

しかしコララインの声優がものすごい大根なのが残念だなあ……ほかのキャラが上手いだけに下手さが際立ちます。