あらすじ・概要
男子高校生、秀一は、家に転がり込んできた母親の元夫、曾根に悩まされていた。曾根が妹に暴力を振るいかけたことをきっかけに、秀一は曾根の殺害を決意する。医学書やインターネットを通じて得た知識で、曾根の殺害をやりとげた秀一だったが、トリックは徐々にぼろが出始め……。
原作をよく読みこまないと作れない実写化
原作は既読。
原作のストーリーやテーマはきちんと踏襲しつつ、映像だからこそ表現できるシーンやせりふを追加している、バランスのいい実写化だったと思います。
まずすごかったのがトリックの説明に長せりふやモノローグを使わず、ほぼ台詞なしの映像だけで表現したところですね。月並みな映画だったらくどくど説明したくなると思うんですよ。そもそも原作も小説だから言葉で説明してますし。
でも殺人を犯す主人公を「映像」で描いたことでああこの作品は「実写化」ではなく「映画」を作りたいのだなとはっきり感じました。そこが面白かったです。
尺の関係で原作からはカットされているシーンも多いですが、キャラクターの何気ない会話にカットされたはずの設定が出てくるなど、脚本家がしっかり原作を読みこんでいるのがわかります。
あの何気ないくだりを覚えているんだな……と感心しました。
原作を読んだときは学生だったので、犯罪をする主人公がひどく大人っぽく見えたものですが、映画では子どもっぽさ、短絡的なところが強調されていたように見えました。
大人視点で見てしまうのは私自身が成長したからでしょうね。
よくできた実写化なだけに、キービジュアルがださいところが残念ですね……これだけ見ると面白そうな感じじゃないですもん。そういうところが詰めが甘い。