ブックワームのひとりごと

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東京に住むインテリ虫好き少年がアナウンサーになるまで―桝太一『理系アナ桝太一の生物部な日々』

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理系アナ桝太一の 生物部な毎日 (岩波ジュニア新書)

 

あらすじ・概要

子どものころから虫好きだった著者、桝太一は、名門麻布中学に入学し、そこで生物部に入る。そこでは走り込みをして体を鍛えながら、生き物の採集をしていた。卒業後は東大に入り、海洋生物に興味を持ちアナゴや貝の研究をする。そんな著者はなぜアナウンサーを目指したのか……。

 

東京に住むインテリってこんな育ち方をするんだなあ

新書と言うより自伝的エッセイと言う感じで、読みやすくさくっと読了しました。

正直作品の本題である生き物の面白さより、「東京に住むインテリ少年が大人になっていく姿」のほうが気になりました。

偏差値76(現在)の麻布中学に入学し、生物部なのになぜかスポ根のような青春を送るという独特の青春時代が興味深かったです。

この生物部、生き物の採集のために山や森林などのアウトドアな場所に行くため体を鍛えなくてはいけなかったようです。そして子どもたちだけで採集の旅に出かけてしまう。一般的には中学生にさせる経験じゃない。

著者もすごいけれど、こういう部活にお金を出したり協力したりする親の方もすごいですね。これはこれで文化資本を感じます。

頭のいい集団である反面、頑張って作ったジオラマを勢いで壊してしまう短慮さもあるなど、子どもっぽい一面には笑いました。

 

大学入学後、著者ははダイビングから海洋生物に興味を持ち、アナゴやアサリの研究をします。

賽の河原で石を積むような途方もない手間のかかりようがすさまじかったです。研究って華々しいような気がしますが実際は地味なものなんですね。

でもきっとこれも理系の人にとっては青春なのだろうな……。と文系の人間は勝手に思いました。

 

インテリ家庭すぎて親が進学に協力的でなかった人は嫉妬してしまうかもしれないので、そういう人にはおすすめしませんね。