あらすじ・概要
三審制の最後の砦最高裁判所。そこではどのような判決が出ているのか、また、どのような裁判官が判決を出しているのか。最高裁のシステムやつくりを解説しつつ、「法の番人」の姿を暴き出す。
まあまあ面白いけど「岩波新書」としては物足りないかも
読んでみて「これ、岩波ジュニア新書ではないのか」と思いました。本の中にイラストや図式が多く、情報量そのものもそれほど多くないです。いつも岩波新書を読み慣れている人間には物足りないのではないでしょうか。
情報量そのものは多くないものの、最高裁が出した判決を説明しながらそれに関連する法律の話や、最高裁の仕事内容、それを取り巻く社会の話がよくまとまっていました。新書としては悪くないとは思います。
最近話題になった夫婦別姓についての最高裁判決にも触れられていて、ジェンダーについて興味がある人は読んでみてもいいのではないでしょうか。違憲・合憲を判断した裁判官の内訳、過去の経歴などが語られています。
最高裁の個々の判決にどんな価値があるか、同時にどんな問題点があるかという話は巧妙にぼかされていて、そこはもどかしかったです。
ただ、著者は学者ではなく新聞記者であり、学術的な本ではなく最高裁というものに関心を持ってもらうための本であるならば仕方がないのかもしれません。
サクッと読めはしますし、わかりやすい内容ですが、「岩波新書」と見るとちょっと物足りないですね。どうせならもっと社会についての洞察が見たいところです。