あらすじ・概要
アルビノ、脱毛症、小耳症……。人とは外見が違ってしまう病気にかかった人々。彼ら彼女らは、周囲の差別や偏見、また自分自身の葛藤に悩まされている。「見た目問題」を持つ当事者にインタビューし、著者がそれをまとめる。外見とは? 自分らしく生きるとは? を考える本。
著者自身は当事者ではなく、元恋人にたまたまやけどの跡があったことから活動に携わるようになった人です。それゆえに、当事者にうかつな声かけをしてしまって後悔したり、反省したりするくだりも多いです。
でもそれだけ、身近に関わって関心を持っている人でも、「見た目」に悩みを持っている人を完全に理解するのは難しいのだと思います。「理解したい」という思いに意味がないわけではないですが、限界もあります。
登場する当事者はインタビューを受け入れていることもあってか、現在は前向きに生きている人が多いです。しかしいじめや引きこもりを経験した人も多く、外見をきっかけに人生に挫折していく場合もあります。
そんな中でも同じ病気の人とつながったり、適切な治療を受けられたりすることによって心が上向くこともあります。
人生の「縁」って大事だなあと思いました。
読みながら、小学校時代の友人にアトピーで顔がただれたようになっていた子がいたなあと思い出しました。友達としてはそれなりに仲良くやっていましたが、彼女がからかわれていたときに、もっとかばってあげればよかったな、と思います。この本を読むとそういうクラスメイトのことを思い出す人は多いのではないでしょうか。
本に登場するのは外見についてふっきれた人々ばかりですが、まだその段階にいない人たちはたくさんいるのだと思います。「そういう人もいる」と思うことで、人と違う外見を持つ人々への視線が変わるような気がします。