あらすじ・概要
聡明だが問題児の少年、ジムはトレジャー・プラネットに向かう宝の地図を手に入れ、冒険へと旅立つ。しかし、ジムに与えられたのは下働きの仕事だった。ガラの悪いサイボーグのシルバーに弟子入りさせられ、掃除や皿洗いをする毎日だったが、シルバーとジムの間には奇妙な絆が生まれ……。
SFと大航海時代が交差する世界観と男と男の関係性
男同士の関係性の話でした。新鮮な内容で面白かったです。
船を乗っとり、宝を独り占めにしようとしていた悪役が、主人公のジムに思い入れを持つようになってしまい、最終的に自分を危険に晒してでもジムを助けます。
「この場面でついついジムのことを好きになってしまったんだろうな」という部分がたくさん用意されているので、唐突感がありません。そりゃ、情は沸くだろうな……と思います。
悪人がきちんと罰されないラストは、正しいとは言えないでしょう。しかしたまには悪い人間との関係性に夢を見てもいいのかもしれないな、と思いました。
別れのシーンでの、美しい言葉の繰り返しが印象的でした。
大航海時代と、オーバーテクノロジーが交差する独特の世界観もよかったです。レトロとサイバーが両方楽しめます。
しかし、突然息子が博打打ちみたいなこと言い出して、宇宙に飛び出してしまったジムの母親はかわいそうでした。冒険ものだから展開的には仕方ないとはいえ、同じ女としては同情してしまいますね。