あらすじ・概要
少女漫画が好きな女性たち。彼女たちが困難に直面するとき、あのころ読んだ少女漫画のことを思い出して……。同時に、売れない少女漫画家は、自分の作品が理解されないことに悩んでいた。実在する少女漫画をテーマに、女性たちの人生を描く連作短編。
読んだことのある少女漫画に救われる女性たちに心が温かくなる
『ベルサイユのばら』など読んだことのある少女漫画も多く、懐かしい気持ちになりました。
登場人物たちは、何かしらの困難を抱えていますが、少女漫画が与えてくれた視点で、もう一度現実をとらえ直していきます。
物語を読むことは趣味で、それが直接お金になるわけではありません。それでも人は物語に支えられることがあります。
少女漫画がもたらしてくれるささやかな奇跡に、心が暖かくなりました。
読者の視点の一方で、売れない少女漫画家が自分と向き合い、本当に自分が描くべき物語を考える、というストーリーが描かれます。
彼女の漫画を評して、「価値観が違う人への優しさがない」というのにわかるなあ、となりました。
絵が上手くても、構成が優れていても、自分が持つ価値観しか肯定しない物語は面白くないです。
物語を発展させていくには、自分と違う価値観の人のことも考える必要があります。
あとから気づきましたが、このブログでも紹介した『スラム団地』の人なんですね。作品の雰囲気違いすぎてわからなかったです。