ブックワームのひとりごと

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『はじめて学ぶ生命倫理 「いのち」は誰が決めるのか』小林亜津子 ちくまプリマ―新書

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はじめて学ぶ生命倫理: 「いのち」は誰が決めるのか (ちくまプリマー新書 167)

 

あらすじ・概要

安楽死は許されるか、子どもの自己決定権はどこまで存在するのか、精子バンクから生まれた人たちが親を知る権利は……。テクノロジーの進歩によって、多様性によって生命倫理の問題に直面する医療従事者たち。現代の医療が抱える生命倫理の問題を紹介する。

 

技術の発展につれて問われる人間のモラル

安楽死の話題がよく語られるので、気になって読んでみた本です。

 

生命倫理の問題は、人間の自由意思をどこまで認めるべきか、という話に行き着きます。例えば親にカルト宗教で洗脳された子どもには自由意思があるのか、死の恐怖におびえる人に自由意思はあるのか? 人間は、常にやりたいことを選びとれるとは限りません。

 

精子バンクから生まれた子どもについてどうとらえるべきか、という問題です。

精子バンクは、不妊治療の選択肢や、同性カップルが子どもを持つ手段としての期待があります。一方で、より優秀な遺伝子を求めて精子バンクを利用しようとする人がいます。

しかし、人間の運命は遺伝子だけで決まるものではありません。優秀な遺伝子を持っていても、社会的に成功するとは限りません。優秀な遺伝子を持つ子どもが社会的な成功を得られなかったとき、親は子どもを愛せるのでしょうか?

 

とはいえ生命倫理の問題に対して、著者の意見は書かれていません。だから否定も肯定もできないところはあります。問題文だけで、答えの書かれていない本です。

意見がどうこうというより、生命倫理が抱える問題についてざっと知るための本です。

 

 

 

 

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