あらすじ・概要
ニューブリテン島バイエンにたどり着いた日本兵たちは、圧倒的な兵力差の中玉砕を命じられる。しかし玉砕を命じられても生き残るものがいて……。彼らは上官の命令と自分自身の生存欲求の間であがく。戦中の日本軍の玉砕の愚かしさを描く。
ぐだぐだでドラマチックではない玉砕を描く
もっと悲劇的な話かと思っていたら、ぐだぐだな内容でした。しかしそのぐだぐだ感の方が作品の本質なのかもしれません。
序盤はコミカルな感じから始まり、戦争ものとは思えません。しかしだんだん状況が悪化してきます。
話の半ばで玉砕するしないという話になります。
上官玉砕を命じるにもかかわらず、玉砕について何か高尚な思想があってやっているのではありません。ただ何となく社会の雰囲気や周囲のステレオタイプに流され、命を捨てるのです。しかも玉砕を命じられて助かるのは恥であると認識する始末です。
悲劇にしてはあまりにも愚かしいです。
しかし、人間は平時ですら選択を間違えるのだから、戦争のときはもっと間違えるのでしょう。
私は史実のことは詳しくないですが、このくらいぐったぐだな方が玉砕を美化せずにいられるのかもしれません。ドラマチックな悲劇だと、どうしても肯定した感じが出てしまいますからね。
この作品ではところどころに歌が使われているのが印象的でした。ラスト近辺にも兵士たちが歌うシーンがあります。
悲しいBGMのようで胸が詰まりました。