あらすじ・概要
アメリカの少女、ライリーを脳内から支える感情たち。しかしその暮らしは「思春期」がやってきてから大きく変わってしまう。新しい感情、「シンパイ」に脳の司令部を追い出されたヨロコビなどの感情たちは、ライリーの自分らしさを取り戻し、司令部に戻るために奔走する。
思春期の感情が痛いけど救いのある話
自分のことを思い出してアイタタ……となる内容でしたが面白かったです。
新しくやってきた「シンパイ」は、ライリーが不幸になるあらゆる可能性を考え回避するための感情。しかしシンパイはライリーを思うあまりに司令部を乗っ取ってしまい、ヨロコビたち古い感情を追い出します。
一見傍若無人な行動ではありますが、ライリーの視点では進学とともに友人と別れることが確定し、孤独になることへの不安にかられています。新しい関係を作ろうとするライリーですが、そのためにもともとの友人たちをないがしろにしてしまいます。
「シンパイ」の本質が「悪い未来を予想し回避する感情」であることが上手いなあと思います。実際のところシンパイの言うことは完全に間違っているわけではありません。新しい友達が必要なのは事実です。また、シンパイの力によってライリーはアイスホッケーの特訓を行い、自分の能力を高めます。
しかし頭がシンパイに乗っ取られてしまうと、今考えなくてもいいはずのことを考え続け、行動できなくなります。
シンパイを悪い感情とするのではなく、他の感情の力でそれと付き合い、「ほどほどの不安」とともに生きていくことを目指します。
「ハズカシ」というキャラがいるように、見る人の羞恥心をあおる作品でもありました。ライリーの立場からすると気まずい描写がとても多いです。
しかし「恥ずかしい」という気持ちがあるからこそ次はうまくやろうと思えるし、よくないことをした自分を顧みることができます。
めちゃくちゃ気まずいですが、同時に必要な描写でもあると思いました。
個人的には面倒くささをつかさどる「ダリィ」が好きでした。出番自体は少ないですが、存在感があります。また、感情がごちゃごちゃしているときにさくっと行動するための感情として扱われているのが面白いですね。
なぜかフランス語のあいさつをしゃべるダリィ。元ネタか何かあるんですかね。
あと、ライリーが好きだったキャラクターが登場するシーンがあるんですが、メタネタで笑いました。子ども向け番組が画面の向こうに話しかけてくるのをネタにするとは。アメリカの画面の向こうに話しかけてくるあれ、ギャグとして扱うくらいには「変だな……」という認識あったんですね。
いろいろ盛りだくさんで楽しかったです。
人によって感情の司令部は違うことが示唆されているので、別キャラクターのあれこれも見てみたいですね。