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ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

第二次世界大戦を生きた英国執事の栄光と悔恨 カズオ・イシグロ『日の名残り』感想

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日の名残り (ハヤカワepi文庫)

READING STYLEの企画「バースデー文庫」で入手した11月8日の本です。

ごまかしても面白くないかな、と思ってはっきり言ってしまうと、「11月8日→118→へし切長谷部の刀帳番号(刀帳=刀剣乱舞における図鑑みたいなもの)」です。

中身についてはまったく調べてなかったので、英国執事の話だと知ってびっくりしました。へし切長谷部は忠臣キャラであり、「マシンガンをぶっ放してくれそうな執事」と例えられることもあります。中身は全然似てないけど。

こういう偶然の一致も面白いですね。

 

あらすじ

昔はダーリントン卿という貴族に奉仕していたが、今はアメリカ人に仕えている老執事。彼はかつて女中頭だったミス・ケイトンに会いに行くために初めて一人で旅に出ます。旅をしながら、彼は昔のできごとを回想していきます。

 

 

英国執事の仕事に興奮

英国執事のお仕事に興奮しました。やっぱり執事と言うのはかっこいいですね。執事萌えなのですごく読むのが楽しかったです。

表面的な仕事、やるべきことはもちろん、執事の仕事意識に触れられているのが興味深かったです。そして最初はなんとなく読んでいたこの仕事意識が、ラストに大きく関わってきたのに感動しました。全部伏線だったんですね……。

寛容なことを言っているように見えてさらっと人種差別的なことを考えているの、すごく老執事っぽい……と思ってしまいました。

主人公はすごく有能な人であることは確かなんですが、やっぱり考え方の偏りはあります。そこが逆に実際にいる人のように感じられて親しみを覚えました。

有能な人の完璧ではないところってグッとくるものがあります。

 

前を向いて生きていくしかない、という哀しみ

主人公が語る過去の栄光の話を「自慢かよ」と思って読んでいると、ラストに向かうにつれ主人公の犯した過ちが明らかになります。それがどうにもやりきれないです。

「前を向いて生きていくしかない」という結論は陳腐だけれど、過ちを繰り返してきた主人公が言うと含蓄があります。もし主人を破滅から救うことができたら、もしミス・ケイトンに素直になっていたら……。と何度も繰り返し後悔して初めて、「前を向くしかない」という結論が真実に思えるのかなと。

一見前向きな言葉です。しかし、裏には多くの取り返しのつかないできごとがあります。どんなに過去を振り返ってもやり直すことはできない。だから前を向くしかない、という悲しい結論でもあるなと思いました。

どうしようもない過ちとともに生きていくためには、それを笑い飛ばすユーモアやジョークが必要なのかもしれません。

 

まとめ

何も調べずに読みましたがすごい面白かったです。こうして衝動買いした作品が面白いのって、すごくうれしいんですよね。

皆さんもバースデー文庫で好きなキャラの誕生日や由来のあるナンバーを買ってみてはどうでしょうか。

日の名残り (ハヤカワepi文庫)

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わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

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