今日の更新は、須賀しのぶ『アンゲルゼ』感想のまとめです。
あらすじ
内気で引っ込み思案な陽菜の趣味は、歌を歌うこと。歌を歌うと不思議な女性が現れ、彼女をマリアと名付け交流していた。しかしマリアは、陽菜の運命を変える存在だった。
感想記事一覧
14歳の少女が化物を操る力を持つ―須賀しのぶ『アンゲルゼ 孵らぬ者たちの箱庭』
世界を救うために中学生が壮絶な訓練―須賀しのぶ『アンゲルゼ 最後の夏』
世界を知りたいと願う少年の恋慕―須賀しのぶ『アンゲルゼ ひびわれた世界と少年の恋』
人食いの女王候補が下した決断―須賀しのぶ『アンゲルゼ 永遠の君に誓う』
総評
読み返してみて改めて、残酷すぎる話だな……と思いました。
中学生の女の子が、半分化物になり、軍隊に所属して鬼のような訓練を受け、出征する。これだけでつらさが十分すぎます。
しかし主人公陽菜にはさらなる試練が待ち受けています。もう十分だよ!
と言いつつ、やっぱりこの小説は面白いです。アンゲルゼという謎の生き物の生態、過酷な環境の中で惹かれ合う少年少女の恋。そのような「続きが読みたい」という強い動機付けをしてくれるから、ひたすら暗くても挫折せずに読めました。
話を転がしていくのが上手くて、中だるみするところがありません。だから一気に読んでしまいます。
一方で、万人におすすめできるような作品ではないと思います。なぜなら因果応報がきっちりしていないから。
優しい人が犬死にするし、悪い人が勝ち逃げすることもある。そこが須賀しのぶの作風のいいところでもありますが、無理な人は無理だろうなと。
そのような状況を肯定しているわけではなく、むしろそんなろくでもない世界でどう生き残っていくか、という話です。倫理がないわけではないです。
まとめ
本当に暗いので気軽に他人におすすめできませんが、私は好きです。
電子書籍もあるので、気になった人はぜひ読んでもらいたいです。