『オシムの言葉』を読みました。
バーナード嬢曰く。 (REXコミックス)で絶賛されていたので気になって読みました。
書籍概要
サッカー日本代表の監督だったイビツァ・オシム。彼はユーゴスラビア代表の監督でしたが、祖国の戦争により外国に移り住まざるをえませんでした。彼のサッカーへの愛と人間への愛を語ったノンフィクション。
理性をもって国を愛した人
戦争に引き裂かれた祖国を愛し続けたオシムさんが悲しかったです。
しかしオシムさんがすごいのは、国民同士が殺しあっても、家族が危険にさらされても、特定の民族を憎もうとしなかったことです。人間への愛にしろ国家への愛にしろ、彼の愛にはきちんと理性が伴っていたんですね……。そこが尊敬できますし、そこまで誠実にふるまっていたのに報われないのが哀しくて泣けてくる部分でもあります。
サッカーはあまり関心がなく、彼が倒れたニュースが流れたときにさまざまなところから応援のメッセージが来るのを見て、「この人そんなに有名だったの?」と思った記憶があるんですが、この本を読んで納得しました。この人はすごい。
日本ではたまたま政治のことを深く考えずにサッカーができますが、それは奇跡みたいなものかもしれないなと思いました。国内で働く外国人は徐々に増えているし、国家の分断が起こる可能性はゼロではない。EUやトランプ旋風のこともあって、タイムリーな話だと思いました。
まとめ
サッカーはあまり興味がなかったですが、ユーゴスラビアにおけるサッカー史を通して、ユーゴスラビアの問題を知ることができたのがよかったです。
著者はユーゴスラビアのサッカーについていくつか本を出しているようなので、それもチェックしてみたいです。