ブックワームのひとりごと

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小説家になろうで読むろう学校百合 石川博品『あたらしくうつくしいことば』感想

あたらしくうつくしいことば

商業出版の本に夢中で最近あまりweb小説を読めてないのだけれど、これはすごくよかったので覚書もかねて感想を残しておきます。

画像はKindle版の表紙です。

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あらすじ

紗雪の通うろう学校に転校生がやってくる。彼女は紗雪たちとは違った手話を使っており、話が通じなかった。そんな折、紗雪は転校生ふたりがキスをしているところを目撃する。やがて二つの手話は混ざり合い、お互いの言葉を理解できるようになっていくのだが……。

 

無音なのに饒舌な世界

登場する女生徒たちがあまりにも饒舌なので忘れそうになりますが、彼女らは手話を使っているので、実際には無音の世界なんですよね。

呼んでいる途中に何度かそれに思い至って、不思議な気分になりました。

同じ国に住み、同じような学校に通っていても言葉が違うという設定も、新鮮で面白かったです。実際に、日本の手話はいくつか系統があるそうです。

『あたらしくうつくしいことば』というタイトルとは裏腹に、ストーリーは美しいだけではありません。だけどラストまで読み終えると、彼女らにとってあの言葉は「うつくしいことば」だったのだなあと思いました。

言葉に興味がある人には、一読してほしい作品だと思います。

 

 少女たちの青春と恋

少女たちの恋を描いたという点では百合なんですが、青春物としての側面も面白かったです。

小説を書きたいと願いながらも、ずっと書きだせない紗雪は昔の私を見るようで、感情移入してしまいました。

学校という短い、しかし濃密な関係を過ごす場所で、少女たちが一喜一憂し、つたない恋をして、やがて別れていく、その美しさと物悲しさ。その描き方がまさに青春で好きでした。

百合を読むのに抵抗がなければ、いろいろな人に読んでもらいたい作品です。

 

まとめ

すごく面白かったので、お布施もかねてKindle版も今度買おうと思います。

テーマ的に厳しいものもあるだろうけど、なんとか小説を書き続けてほしい作家のひとりです。

 

 

 同作者が書いた中での私のイチオシ『ヴァンパイア・サマータイム』もよろしくお願いします。