ブックワームのひとりごと

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こっくりさんと契約した男の、悲しくも希望のある結末―乙一『天帝妖狐』再読感想

 

天帝妖狐 (集英社文庫)

今日の更新は、『天帝妖狐』です。

久しぶりに読みたくなったので楽天koboで買いました。電子書籍は気が向いたときに買い戻せて、著者にお金を払えるのでいいですね。

 

あらすじ

杏子は道端で倒れていた夜木という男を拾う。顔を隠した夜木は、何か訳ありのようだが……。表題作と、トイレの落書きをテーマにしたサスペンス「A MASKED BALL」の二編を収録。

 

乙一の作品で一番好き

読み返すとやっぱり、「好きだなあ……」と思います。胸がいっぱいになって感想も書きにくいです。

こっくりさんの「早苗」と契約した夜木は、死なない体を手に入れる代わりに、怪我をするたびに人間の体を失っていきます。その恐怖と孤独が美しい筆致で描かれています。

そして行き倒れた彼に手を差し伸べた杏子も、孤独を抱えていました。友達との交流の中で浮いてしまい、いつも戸惑うように暮らしています。そんな彼女だからこそ、夜木がひとりきりでいるのが苦しかったのだと思います。

孤独な人が出会い、ふれあい、苦しい人生の中で少しだけ救いを得る。悲しいけれど美しい物語で大好きです。

 

「A MASKED BALL」はトイレの落書きをテーマにした作品で、トイレの一室で繰り広げられる会話と、謎の事件がリンクしていきます。

そしてオチにぞわっと来ました。この予定調和でないオチが大好きです。 

 

まとめ

久しぶりに読んでも面白かったです。やっぱり乙一の作品だと一番好きです。

気になった方はぜひ読んでみてくださいね。

天帝妖狐 (集英社文庫)

天帝妖狐 (集英社文庫)