ブックワームのひとりごと

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お金に狂った看護婦が起こした連続殺人―森功『黒い看護婦―福岡四人組保険金連続殺人』

黒い看護婦―福岡四人組保険金連続殺人 (新潮文庫)

今日の更新は、森功『黒い看護婦―福岡四人組保険金連続殺人』です。

 

あらすじ・概要

貧しい家庭に育った看護婦の吉田和子。彼女は金銭への執着心から、詐欺を繰り返すようになる。彼女の虚言と脅しによって、三人の友人が巻き込まれていく。和子が率いる四人組は、ついにメンバーの夫すらも手にかける。看護婦としての技術を使い、完全犯罪で保険金を手に入れようとする。

 

弱い人間たちを狙う犯罪者の怖さ

男性が看護師になる昨今、もう看護婦という言葉は使われなくなって久しいんですけれど、この本の中では「看護婦」という言葉が利用されているので感想もこの言葉で統一します。

 

読んでいて感じたのは人間の弱さと、その弱さを利用する主犯の怖さです。

和子の周りには運よく「弱い」人間たちが揃ってしまっています。主婦なのに金遣いの荒い妻を放置した夫、押しに弱く和子に強く言いくるめられると従ってしまう古い友人。彼らは確かにちょっと脆弱で変わっているけれども、それでも和子に出会わなければ普通の人間でいられたはずです。

おそらくこの人には人間の弱さをかぎ分ける嗅覚みたいなものがあったのでしょうね。そこから相手の心に入り込んで、恐怖をあおり、意のままに操ってしまう。

和子はサイコパスなのだろうけれど、それだけではなく、ある種の人を引き付ける力、言葉の魔力を持っていました。ただサイコパスなだけだったらこんな事件を起こさなかったでしょう。

 

凶悪犯罪にはそれに巻き込まれる弱い人間と、主犯の行動力、それから悪運がないと発生しないのだなと感じました。

悪い人間に付け込まれないためにはひたすら心を強く持つことなのだろうけれど、弱っているときに近寄られたら冷静な判断はできません。自分に置き換えると拒絶できたかどうか不安になってしまいます。

自分以外の三人にあがないきれない罪を追わせて、それでも死刑を回避しようとする和子はすごく怖かったです。

 

『黒い看護婦―福岡四人組保険金連続殺人』まとめ

悪い人間は心が弱っている誰かを狙います。心を強く持つことが防犯だなあと思いました。

 ハードな話なのでおすすめしがたいけれど、犯罪に巻き込まれる人間の心理が知りたい人はぜひ読んでみてください。

官邸官僚 安倍一強を支えた側近政治の罪

官邸官僚 安倍一強を支えた側近政治の罪

  • 作者:森 功
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2019/05/31
  • メディア: 単行本
 
黒い看護婦―福岡四人組保険金連続殺人 (新潮文庫)

黒い看護婦―福岡四人組保険金連続殺人 (新潮文庫)

  • 作者:森 功
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2007/05/29
  • メディア: 文庫