ブックワームのひとりごと

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『コンフィデンスマンJP 英雄編』田中亮 感想

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コンフィデンスマンJP 英雄編

 

あらすじ・概要

信用詐欺師・ダー子は仲間と詐欺による勝負をすることになる。今回の「オサカナ」は「踊るビーナス」像を持つ元マフィア。三人の師匠であり、伝説の詐欺師「三代目ツチノコ」をめぐる物語も絡んでくる。三人はインターポールの目をかいくぐり、詐欺を成功させることができるのか。

 

テンプレだけど新しい価値観を提示するところが好き

コンフィデンスマンJPはスカッと系で、筋自体は特別ではありません。社会の「こうあるべき」というモラルを解体し、本当にそうなのか?と問いかけるところが面白いです。

 

「英雄とは何か」と視聴者に問いかけ、制作側自身の答えを提示してくれるところが良かったです。

この世界に英雄などいない、という前提から始まって、それでも何かを為したいという人の気持ちを否定しないのがよかったです。

この世に善も悪もない、という思想から力に溺れ、快楽に耽溺する恐ろしさ。そしてそういう価値観を否定してくれるダー子たちにすっきりしました。

 

ダー子がどうして仲間たちにこだわるのかも語られます。ダー子にとって、共犯者たちは家族でもないし、友人でもありません。しかしダー子は彼らに強い繋がりを感じています。

血の繋がりのない、疑似家族でもない関係です。ときに仲間すら騙す関係でもあります。しかしダー子自身はこの関係を愛しているのです。

テンプレ的ではない、愛というものを見せられて嬉しい驚きでした。

 

ストーリー自体はわかりやすいエンタメですが、新しい価値観を提示しようという意気込みが感じられて好きな作品です。

 

 

 

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