あらすじ・概要
イラストレーターで勤め人の著者。その父親が、脳こうそくで倒れた。そこから、家族の介護の日々が始まった。入院生活から自宅介護、デイサービスの利用、そして、おそらく二度と家に戻れない療養型医療施設へ。親の老いを文字エッセイとイラストで描いた本。
はっきり「何もしない人だった」と言うのが潔い
著者(とその家族)は人脈に恵まれており、衣服を介護用にリメイクしてくれる人がいたり、急いで自宅のバリアフリー化工事をしてくれる人がいたりします。そこがうらやましいですね。
私、人脈ゼロなので、親の介護のときは途方に暮れそうです。
ただ人脈があったとしても、毎日の介護は厳しいものです。療養型医療施設に移るまでの生活は本当に大変そうでした。
それから著者がはっきり「父は何もしない人だった」と言っているのが逆によかったです。著者の父は仕事もしない、家事もしない、健康管理もしないという人で、読者が言うのも何ですがいい父親ではありません。それでも介護をしなければならないという現実が、つらいこともあったでしょうね。
しかし本そのものはあまり暗くならない内容だったので、安心しました。仲がいいというわけでもないから、逆に突き放して描けたのでしょうか。
淡々としつつサクッと読める内容でよかったです。