ブックワームのひとりごと

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女キャラが描けてないし長せりふも寒い―中村文則『悪と仮面のルール』

悪と仮面のルール (講談社文庫)

 

あらすじ・概要

異常な父親に「邪」として育てられようとした主人公。しかし父が自らの養女で主人公の幼馴染、香織に手を出そうとしたことから、主人公は父を殺してしまう。そしてその

後、主人公は顔と名前を変えて、父の死をきっかけに離れ離れになった香織の同行を追っていた。

 

自分の知らないところで巨大感情が飛び交うのかわいそう

女を中心にして男どもの巨大感情が飛び交っている……しかもイラつくのは、その女である香織が主体となってストーリーを動かすことがないことです。女性をちゃんと描く気、ないんですよねこの作品。

自分の知らないところで自分を守るために犯罪や駆け引きが行われていて、それで自分自身は守られて、でも何も知らないままで……って、主人公はいいかもしれないですけれど香織の主観で言えばあまりにも自由がありません。

いっそ香織が自らの境遇にぶちぎれてくれたほうがまだ救いがありました。

 

文体的にも不自然なほどやたら長せりふが多く、ついななめ読みになってしまいました。こいつら何でこんな長々と観念的な話をして、しかも相手もちゃんと聞いているんでしょう。私なら聞き流します。

しかもいいこと言っている風でいてあまり身にならない話ですしね。

 

アイデアや設定自体は嫌いではないんですが、女性キャラクター舞台装置的な描き方、長せりふにページを費やしている無駄さが無理でした。ラストが気になってつい最後まで読んでしまいましたが、結末もそれほど大したものではなく、はずれでしたね。

悪と仮面のルール (講談社文庫)

悪と仮面のルール (講談社文庫)

  • 作者:中村 文則
  • 発売日: 2013/10/16
  • メディア: 文庫
 
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