ブックワームのひとりごと

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やくざより暴力的な刑事が抗争を止めるために事件を追う―『孤狼の血』(実写映画版)

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孤狼の血

 

あらすじ・概要

若い刑事の日岡は、暴力団を相手とする部署へ配属される。そこにいたのは、暴力団を操るためなら脅しも暴力も使う男、大上だった。彼は大上と失踪した金融会社社員について調べることになる。日岡は大上に反発しつつも、その驚異的な支配力に惹かれていく。

 

語彙力のある広島弁が飛び交う

しょっぱなから語彙力のある広島弁の罵倒が飛び交うので、一瞬で「これ面白そうだな」となってしまいました。言葉の圧がすごく強いです。響きが気持ちいい。罵倒なのでめちゃくちゃ言葉は汚いですが……。

 

暴力に次ぐ暴力で過激なシーンも多いんですが、暴力の形がオリジナリティに満ちているんですよね。こんな暴力見たことないっていうシーンが多い。

グロかったり痛かったりする描写、私は本来苦手なんですが、このオリジナリティあふれる暴力のためについつい見てしまいました。

 

暴力団と犯罪的操作を行う警察官という、徹頭徹尾倫理のないテーマですが、作中では犯罪に対する価値観が一貫していてそこがよかったです。

大上はすごいけど、決して正義の側ではないし、日岡もそうです。弱者である女性たちも、下っ端であるチンピラたちも、搾取される側だけれどただ搾取されるだけではない。無辜の人間が出てこないのです。

暴力は醜く、恐ろしいものではあります。しかし暴力のさなかでしか生きられない人間にはまがまがしい魅力を持つことがあります。その美しさが出ていた作品でした。

 

ただツッコミどころもあります。特に昭和から平成に移り変わる時期を舞台にしているのに、背景がほぼほぼ現代なところです。この辺は美術や小道具にお金をかけられなかったのかな……。