あらすじ・概要
関西を中心に怪談を収集する著者の元へは、大阪の土地にまつわる様々な怪談が流れ込んでくる。千日前、天王寺、京橋など繁華街の怪談から、東大阪や千早赤阪村など郊外の土地に至るまで、大阪の怖い話、不思議な話を集めた怪談集。
大阪の不思議でちょっと怖い話
前巻も読んで紹介しましたが、今回も面白かったです。
著者自身がレンタルスペースでの怪談会や、Zoomでの怪談取材を行い、その調査の部分の描写も含まれているので、物語に臨場感があります。
怖い話ばかりではなく、不思議な力に助けられた話、害のないおばけの話も多いです。
大阪の歴史にまつわる話も多く、さながら現代大阪のフォークロアという感じ。
ローカルネタ大好きなので楽しく読みました。
そうやってエンタメとして読んでいたのだけれど、著者が「怪談は鎮魂」と述べているくだりを読んで少し考えこんでしまいました。
確かに大阪と言う土地で、無残な死を迎えた人たちが幽霊としてこの世に残っているとしたら悲しいことです。私は幽霊を完全に信じるわけではないですが、過去に思いをはせた結果「霊魂」を信じる人の気持ちはわからなくもないです。
著者の怪談がどこか優しく穏やかなのは、生前報われなかった人たちへの共感や思いやりが感じられるからかもしれません。
ローカル怪談のシリーズはいろいろ出ていますが、大阪のシリーズはずっと著者が書き続けてほしいですね。