ブックワームのひとりごと

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海の哺乳類を解剖する生物学者の日常と、生き物の不思議―田島木綿子『海獣学者、クジラを解剖する~海の哺乳類の死体が教えてくれること』

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海獣学者、クジラを解剖する。~海の哺乳類の死体が教えてくれること~

 

あらすじ・概要

日本には、実は多くの海の生き物が漂着(ストランディング)している。海の哺乳類を解剖し研究することが仕事の著者が、解剖の仕事や海の生き物の不思議を紹介する。生物学者は何のために解剖をし、どのように体の中を観察するのか……。

 

科学をやっていると泥臭い仕事もある

大阪にやってきた迷いクジラ、「淀ちゃん」のニュースを見て読んでみた本です。

内容としては面白かったですが、一冊の本として見ると足りないところもありました。

 

著者は解剖や標本作成を専門とする海獣学者であり、漂着、つまりストランディングした海の生き物を解剖して調べています。

野生の動物の死体を扱う仕事ゆえ、作業は悪臭にまみれています。おまけに力仕事、そしてストランディングの報告があれば駆けつけなければなりません。

メディアで扱う科学者のクールな印象とは裏腹に、とても泥臭く大変な仕事です。

著者自身が、何のために泥臭い仕事をするのか、それがどのように科学に役立つのか、説明してくれるのがよかったです。

 

タイのプーケットで仕事をすればリゾート感に浮かれたり、悪臭にまみれて宿のお風呂に入るのが大変だったり、人間味のあるエピソードがあるところも面白かったです。

 

一方で、章ごとのまとまりが悪く、話があちこちに飛ぶところが気になってしまいました。どういう基準でエピソードを仕分けているのかわかりにくいです。

作者は文章のプロではないので仕方ないかもしれませんが、この辺は編集者も話題の仕分けを手伝ってあげてほしいです。