ブックワームのひとりごと

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『ミュージアムを知ろう 中高生からの美術館・博物館入門』横山佐紀 なるにはBOOKS別巻 感想

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ミュージアムを知ろう 中高生からの美術館・博物館入門 (なるにはBOOKS 別巻)

 

あらすじ・概要

人々に美術や文化、歴史を学ぶきっかけをくれるミュージアム。学芸員や芸術家たちは、展示の可能性を模索してきた。一方で、美術館や博物館には、負の歴史もあった。ミュージアムのいままでとこれから、そして展望を書く。

 

ミュージアムの過去、未来、これから

簡潔ではありますが、ミュージアムの持つ可能性や問題点について説明されていてわかりやすかったです。

 

市民に文化や歴史の知識を提供する美術館。そこではさまざまな取り組みがなされています。

マイノリティである人々の文化を紹介したり、「こうあるべき」という価値観を崩してみたり。芸術家や学芸員たちが、頭を捻って文化について考えていることがわかります。

 

また、ミュージアムのためにどのような建築を作るかも重要です。展示する文化にちなむデザインを考え、見た目から文化を指し示していくところは面白かったです。

 

一方で、ミュージアムの負の歴史についても語られています。

万国博覧会ではいわゆる「未開の人々」が展示物として並べられ、植民地支配の正当化が行われました。

また、先進国が発展途上国の文化財を不当に入手し、展示してきたことも問題になっています。帝国主義の時代ならともかく、2010年代の事件もあるというので驚きです。

文化は美しいですが、「美しい」「楽しい」では済まされない部分もあります。市民に歴史や文化を伝える博物館として、文化の持つネガティブな面も語っていかなければならないでしょう。

 

今のミュージアムについて、いいところも悪いところも知りたいという人にはいい本だと思います。