ブックワームのひとりごと

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『トロピカル性転換ツアー』能町みね子 文春文庫 感想

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トロピカル性転換ツアー

 

あらすじ・概要

性同一性障害を抱える著者は、タイで性別適合手術を受けることとなる。タイにおける入院生活や、体の変化、性別適合手術の独特の事情など、笑いを交えて発信する。当事者によるエッセイ体験記。

 

タイに性別適合手術をしに行く

面白おかしく書いてはいますが、体力的、精神的には性別適合手術は大変なんだなあと思いました。

タイトルは性転換ツアーになっていますが、「体を心の性別に合わせる治療」なので「性別適合手術」が正しいです。でも作者はわかっていて、冗談半分でこのタイトルにしたのだろうと思います。

 

男性から女性に体を変えるのはどういうことなのか、と、かなり具体的なところまで書いています。性的な部分にも突っ込んだ話をしています。

笑っていいのかわからないですが、そこまで作り込むのか……と興味深かったです。

そして手術だけではなく、患者もあれこれしないといけないのが大変そうでした。

簡単に性別適合手術といいますが、体を異性の姿にするというのは本当に面倒くさく苦しいんですね。

 

基本的お笑いエッセイとして進んでいくため、そこまで生々しく感じず読み進めることができます。

とはいえ2013年文庫版刊行と、少し昔のエッセイなので、倫理的にちょっとなあという冗談もあります。ただ、トランスジェンダーの人が聖人君子であるわけでもなし、こんなものかなあと思います。