あらすじ・概要
東日本大震災の被災地で、女性はどう暮らし、どんな困難に直面したのか。実際のトラブル、問題を取り上げ、被災地の女性にどのような助けが必要か考える。女性の問題から、災害弱者の問題も見えてくる。
困難が多い女性の避難所生活が悲しい
東日本大震災を踏まえて、女性への災害支援を求める本。
タイトルから予想はしていましたが、やはりなかなか重たい話でありました。
実体験としての女性が見た避難所事情がすごかったです。思想のおかしい人が避難所のリーダーになってしまい、「自分達は家族だからついたてはいらない」とついたてを設置しなかったとのこと。
ジェンダーの問題だけではなく、みんなが疲れはてて生きるので必死な状況ではわけのわからない意見が通ってしまうこともあるんですね。だからこそ、平時のときにマニュアルを作っておくことが必要なわけですが。
性暴力や女性向けの物資の不十分さは、わかりやすい問題ではあります。
恐ろしかったのは、災害が落ち着いたあと、復興支援としてなされる活動が男性の雇用ありきだったことです。女性を支援する団体は、これでは被災者の女性の年収が下がってしまうと悲鳴を上げます。
女性が働けないと男性への依存が強まります。女性が自由な選択をすることが難しくなります。また、シングルマザーや独身女性の貧困に対応できなくなります。
月並みな言葉ではありますが、やはりきちんと人々が被災者のその後に関心を持たなければなりません。関心があればメディアが取り上げることも増えるでしょう。
能登半島地震の今後の参考にもなる、興味深い本でした。