クラーナハ展に行ってきました。
展覧会概要
ヴィッテンベルクの宮廷画家として名をはせたクラーナハ。多作な彼は多数の作品を残しました。彼の背徳的でエロティックな女性描写はさまざまな時代の人を魅了しています。国内外からクラーナハの作品を集め、展示した特別展です。
展示室別感想
Ⅰ
そもそもクラーナハというのは何者なのか、という説明をする部屋です。
蛇の形のサインかっこいいですね。絵を見ているとどこかに蛇のマークが無いか探してしまいました。
プロテスタントの君主に仕えているのに聖母子の絵も描くところ、本当にビジネスって感じがします。
Ⅱ
正直あまりかっこよくは書かれていないんですけれど、独特の存在感があります。絵が意思を持っているような気がしてきます。
工房を引きついた息子クラーナハの作品もすごい。「ザクセン選帝侯アウグスト」と「アンナ・フォン・デーネマルク」は大きくて描写に迫力があってかっこいいです。
Ⅲ
当時の最新技術であった版画のコーナー。
『聖アントニウスの誘惑』はいい感じに気持ち悪くて好きです。クリーチャー大好き。
Ⅳ
クラーナハの描いた裸体のコーナー。
この時代の趣味なのかクラーナハの趣味なのかわかりませんが、ちょっとぽっちゃりした女性が多いですね。お腹がぽこっと出ています。
「全裸に透明なベールを持たせよう」と発想したところがすごいです。エロい。
Ⅴ
この展覧会の本題「誘惑」のコーナー。
「ホロフェルネスの首を持つユディト」が見れてよかったです。怖いけどぞくぞくするような色気があります。
わりと絵の中の人物がこちらを見てくる絵が多いので、目が合うとどきどきしてしまいます。
Ⅵ
クラーナハと関係が深かった、宗教改革者マルティン・ルターのコーナー。
絵を通して宗教改革に参加したクラーナハ。それだけ絵は重要なメディアだったんでしょうね。
余談だけど私はルターの嫁カタリナ・フォン・ボラが大好きなのでエピソードを見てください。
押しかけ女房はライトノベルの中だけではなかった……。
総評
面白かったのがクラーナハという人はかなりの速筆だったこと。大規模な工房を持ち、工房の職人たちに手伝わせることで大量生産を可能にしていたそうです。今の漫画家のアシスタントみたいですね。
多作であるがゆえに、宗教改革の影響が吹き荒れるドイツの当時の思想や文化を色濃く感じることができます。このビジネス芸術家っぷりは嫌がる人もいそうですが、それはそれで存在価値があるんでしょうね。
ビジネスライクな経営センスと、その中でも花開く芸術家としてのセンス、両方見れたのがお得感ありました。
あんまり興味がなかった画家だったけれど、一気に好きになってしまいました。
ドイツ・ルネサンスの挑戦 デューラーとクラーナハ (ToBi selection)
- 作者: 田辺幹之助,新藤淳,岩谷秋美
- 出版社/メーカー: 東京美術
- 発売日: 2016/10/19
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おまけ
記念撮影コーナーのユディトになれる顔ハメ看板。こわい。