『銀の森へ』に載っていて気になった作品です。原作は既読。でも読んだのが大分前なので記憶があやふやです。
あらすじ
ペコ(星野)とスマイル(月本)は幼なじみ。二人で一緒に卓球を続けてきた。しかしスマイルが卓球の才能を見出されたことから二人の関係は変わってしまう。負けたショックで卓球の練習をしなくなるペコだったが……。
テンポのいい人物描写
ペコとスマイルの友情は、一言で表すのが難しい特別なものです。けれどその特別な関係を、冗長にも駆け足にもならずにテンポよく描かれていると思います。
挿入される回想シーンが端的かつ的確で、本筋のストーリーを殺さないところがよかったです。さらりとしているけれど、見終わってから思い出すとぐっときました。
上でペコを待ち続けるスマイル、そんなスマイルを追いかけるペコ。そして二人が同じ戦いの舞台に立つ。その過程には胸が熱くなりました。
二人とも、直接多くは語らないけれど、卓球というスポーツの中で対話しているように感じました。
物語は終わってしまったけれど、二人ならどこまでも遠くに行けそうな気がします。
外連味のあるピンポン描写
さらに面白かったのが、卓球シーンの演出です。スローモーションや映像加工を使って、ダイナミックな試合を演出しています。
背景が真っ白になるあの場面は、今まで見たことのない演出ですごくわくわくしました。
リアリティの観点から言うと過剰なんですが、漫画の実写化として見るとぴったりのものだと思います。現実を超越した、ある種の幻想的な雰囲気があります。
映画はリアリティを追求するだけではなくて、それにふさわしいファンタジーを用意するのも大事だな、と考えました。
ただ私の好きなチャイナの出演が短かったのがちょっと寂しかったです。尺の問題だとはわかっていますが。
まとめ
原作の雰囲気を踏襲しながら、映像でしかできない表現をしていて面白かったです。卓球シーンは本当にかっこよくて一見の価値があります。
原作を読み返して比べたくなる、良い実写化だと思います。